キノコを自宅で育てる楽しさを知ると、「自家製の菌糸体を育てる方法」が気になる方が多いでしょう。最も手軽で簡単な方法として、段ボールを使った菌糸体栽培が挙げられます。
なぜ段ボールは菌糸体の成長に適した素材なのか?
- まず、段ボールは他の微生物が発生しにくい環境を提供します。
- 段ボールは木材(セルロース)から作られているため、元々おがくずやチップで育てられた菌糸体にとって親しみやすい素材です。そのため、効率的に素早く植民地化が進みます。
- 段ボールの波型構造は菌糸体に空気の流れを確保します。おがくずを使う場合、素材が圧縮されて通気性が悪くなることで、成長が止まることがありますが、段ボールではその心配がありません。
- 段ボールは水分を保持しやすい素材です。
- 滅菌する必要がありません。材料が清潔で、汚れや異臭がないことだけを確認すれば大丈夫です。過剰に衛生面を心配する必要はありません。
- 最小限の時間と労力で大量の菌糸体を育てることができます。
- 段ボールはいつでも手に入りますし、手軽に利用可能です。
段ボールを使ったキノコの柄からの菌糸体育成方法
使用する段ボールは、波型構造の茶色い段ボールを選び、印刷や塗料のないものを選んでください。また、接着剤などが付いている場合は、その部分を取り除きましょう。
必要な材料:
- プラスチック容器(使用する段ボールの量やニーズによる)
- キノコの廃材(柄、軸、基部など)
- 段ボールを適当な大きさに裂くか、切り分けます。清潔な容器で沸かしたぬるま湯に1時間程度浸けてください。長時間水に浸けても問題ありません。
- 種菌を準備します。基本的にどのキノコからでも菌糸体を育てることが可能です。ぜひ色々試してみてください。キノコを栽培している場合は、基質から柄の部分をできるだけ深くねじって取り出してください。
- キノコの軸を繊維状に分けます。手作業または清潔なナイフや刃物で行えます。
- 容器に排水用の穴を開けます。そうすることで、水が滞らずカビの発生を防げます。
- 段ボールの水を丁寧に絞り切ります。段ボールの波型部分にキノコの小片を一定の間隔で載せ、上から段ボールの紙層で覆います。
- 種菌を敷いた段ボールを容器に重ねて並べます。軽く押し付け、菌が段ボールとしっかり接触するようにしてください。
- 乾燥を防ぐために容器を袋で覆いましょう。ただし、毎日換気を行ってください。
- 段ボールが乾燥し始めたら霧吹きで水分を補給します。
- 袋を每日外し、二酸化炭素を新鮮な空気に入れ替えます。
- 容器は暗く暖かい場所に保管してください。段ボールが3週間から2ヶ月程度で完全に白くなります。以下に、段ボールを使った菌糸体育成の優れたチュートリアル動画をいくつかまとめました。
段ボールで育てた菌糸体を使ったキノコ栽培方法
段ボール全体が白くなったら次のステップです。段ボールの次の活用方法:
- 放置してそのまま水を与え続けるとキノコが成長します。ただし、菌糸体が多く養分が少ないため、豊作とまではいきません。この方法でも栽培はできますが、最良の方法ではありません。
- 段ボールの菌床を使い、おがくず、わら、堆肥、チップなどで作るキノコの「培地」を植民地化することができます。殺菌済みのわらの束に菌床を移し替えれば、 バルコニーで栽培する方法 の選択肢としても適しています。
- 段ボールの菌糸体は、紙、コーヒーかす、お茶の葉、リサイクル素材、さらには布などのあらゆる基質に利用可能です。
- コロニー化が済んだ段ボールは新しい菌床を簡単に植民地化します。同じ段ボールを使用し、別の段ボール菌床の小片を追加することで、新しいサイクルが始まります。この際、先代の菌糸体が適応していた環境の情報が遺伝子に伝えられるため、次世代の菌糸体はさらに効率的に成長します。
- 段ボールの菌床は可能な限り早めに使用してください。一部は菌床を培地に移し、新しい菌糸体を作成するといった分割利用がお勧めです。
- 段ボールはキノコ菌のどの種類でも植民地化できます。菌棒やおがくず菌床、わら菌床、穀物菌床を使ってもいいです。さらには、市販の「乾燥菌糸体」も段ボール上で蘇る可能性があります。